既製品金物を設計で使う際に、分かりやすい方法と、少しマニアックな方法の2パターンある製品があります。車で例えると運転しやすいオートマ(AT)車と思い通りに運転できるマニュアル(MT)車みたいな感じでしょうか。今回は実はそんな使い方もできるベースセッターを例にご紹介します。
❶ベースセッターの紹介と基本的な使い方。
ベースセッター(以下BS)は以下の図のように柱の脚部に使う金物です。基本的な使い方は狭小耐力壁のようにせん断力を負担する「壁」として使います。具体的には構造計算(許容応力度計算)の中で「短期許容せん断耐力:8.8kN」の壁として扱います(詳しい使い方はマニュアル参照。)。この基本的な使い方では1本の柱を「壁」のように扱える評定を取得し、木造の構造計算ソフトなどでも設計に組み込みやすくしています。


壁長450mm
❷もう一つの使い方を提案
もう一つの使い方は、ベースセッターを「接合部」として扱う方法です。具体的には柱脚部の「曲げモーメント」と「せん断力」を伝達可能な接合部として応力解析と接合部の検定を行う設計方法です。イメージとしてはラーメン架構の柱脚と同じです。BXカネシンではベースセッターの曲げモーメント耐力と曲げ剛性をまとめた社内試験成績書があります。コラム下部のお問い合わせからご連絡いただければご利用いただけます。評定の範囲からは外れる運用方法ですので、試験成績書を使った構造設計者の判断の下で使うことになります。
設計時の流れは以下です。
・解析モデルの柱脚部に曲げバネとしてBSを設定する。曲げバネの値は試験成績書の剛性(3526kN・m/rad)より例えば0.9掛けの3200kN・m/radとして、強軸の曲げ以外はピンとして設定します。ちなみに柱頭部分は標準的なおさまりのパイプ金物で接合する場合はピンのモデルとします。
・解析ソフトを使って各荷重条件(長期時とか短期時とか)の応力と変形を算定します。
・架構としての変形角が想定値(例えば1/150rad)以下であることを確認します。
・BS接合部の曲げ応力が試験成績書の許容耐力以下になっていることを確認します。この際、BS接合部にかかる柱軸力により許容耐力が異なるため使い分けが必要です。(詳細は試験成績書を確認)
・BS接合部のせん断応力が「壁」としての短期許容せん断耐力(上記)以下であることを確認します。特に柱頭部で曲げモーメント抵抗するような架構の場合は、実験時と反曲点高さが異なり、想定外にせん断負担してしまうケースがあるのでご注意ください。
・BS接合部が基礎へ伝達した曲げ・せん断・軸応力に対して耐え得る基礎を設計します。例えば標準的なBSの使い方では基礎の地中梁を推奨していますが、上記の応力を地盤へ伝達できる設計であれば独立基礎とすることもできます。
❸おわりに
最後に今回ご紹介したベースセッター以外にも複数の使い方が出来る金物があります。例えば以前の構造コラムでご紹介した「高耐力垂木ビス」は評定による耐力設定と詳細計算法による耐力設定の2パターンがあります。他にも「MPブレースシート」は床倍率を使った簡易な設計と応力解析を使ったブレース設計の2パターンがあります(詳細はマニュアル参照)。これらの製品を上手に活用して色々な構造設計にチャレンジしてみませんか。
今回ご紹介した試験成績書の問い合わせや、金物の使い方に関するお問い合わせはコチラからお願いします。
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