vol.07 高耐力な柱脚金物を設計する時の配慮について その2

高耐力な柱脚金物を設計する時の配慮について、前回に引き続き整理します。

❶引張力なりの圧縮力が入るため、めり込み耐力に注意

必要な引張力が大きい場合、それに応じて圧縮力も必要になるため、木梁へのめり込み防止の対策が必要です。対応方法としては、下記等が考えられます。

 ① ベースプレートを大きくする
 ② 梁勝ちから柱勝ちへ変更する
 ③ LSBやGIR接合により柱から柱へ直接応力伝達する

隅柱等の梁材端部ではめりこみ基準強度が1.25で割られた程度の値となるため、めり込み耐力がより厳しくなります。そのため、①あるいは柱寸法をアップするか、②のように柱勝ちとするなどの配慮が有効です。

❷引張剛性によって耐力壁のせん断剛性が変わります。

高耐力の耐力壁に限った話ではないかと思いますが、「木造軸組工法 中大規模木造建築物の構造設計の手引き(許容応力度設計編)(案)」(以下、中大規模木造グレー本)にて、以下の考えが示されています。

 ”柱脚金物の引張剛性を考慮して、耐力壁のせん断耐力を低減して設計してください。”


これは耐力壁のせん断変形に加えて、柱脚部が浮き上がることによるロッキング変形分の層間変形角の増分を考慮し、せん断耐力を低減して設計してくださいということです。

以前は『木造軸組構法住宅の許容応力度設計』(通称グレー本)にて、
参考・簡便法として、7倍を超える場合の接合部の剛性確保のために3mm時の耐力を採用してください。と明記のあった内容を置き換えた考え方です。

中大規模木造グレー本の計算式を参考に、ホールダウン金物と基礎直結金物の引張剛性の影響を検討します。
壁倍率15倍で1層(階高3.0m)の耐力壁を想定します。引張・圧縮剛性は中大規模木造グレー本の値を引用します。
引張剛性はBXカネシン製品でいうところの
 ホールダウン金物は、高耐力フレックスホールダウン2本使い、
 基礎直結金物は、MP柱脚システム1個使い
が該当します。

上記の検討より、
壁幅1.82m以下だとロッキング変形の影響により、15~30%せん断耐力が低下します。
耐力壁のロッキング変形による耐力低下を抑えるには下記の対応策があります。

 ① 引張剛性の高い基礎直結金物とする(10~15%程度の改善)。
 ② 壁幅を1.82m以上にする(15%程度の改善)。

耐力壁のアスペクト比が大きい場合には、柱脚金物の引張剛性に注意が必要です。

ただ、壁幅を0.5P(=0.455m)長くすれば、ホールダウン金物から基礎直結金物に置き換えなくとも対応可能であるため、短期許容引張耐力100kN程度までなら、ホールダウン金物でも工夫次第で設計可能と言えます。

100kNを超える場合には、MP柱脚システムなどの基礎直結型の柱頭・柱脚金物、
200kN(耐力壁仕様によっては150kN超)の場合、タイダウンの採用をご検討ください。

❸せん断抵抗はどうするのか

柱ホゾにより梁に接合しない場合、柱のせん断力伝達に多少の配慮が必要です。
下図のような梁せい方向に縦のボルト穴をあける場合、木加工の都合によりボルト穴が大きめになりがちです。
そのため、せん断力が不足する場合にはシアプレートやパイプ等のせん断キーによりせん断抵抗させることを推奨します。

❹終わりに

高耐力の柱頭柱脚金物に対応するため、MP柱脚システムが木梁に接合する場合について、『MP柱脚システム 設計・施工マニュアル』に追記しました。
また、MP木造接合部標準図にて高耐力が必要な場合の参考図を更新し、納まり例を明示しています。設計の際に参考として頂ければと思います。

接合部の設計でお悩みの際には構造金物相談所までご相談ください。

MP柱脚システム構造標準図
MP接合部標準図