vol.08 製作金物の設計で気を付けたいところ

木造建築にて必要耐力が過大であるなどの理由で、既製品で設計できない場合、製作金物の設計をする必要があります。
その場合の注意点について整理してみます。

❶隅肉溶接で設計する。コストを抑えるなら溶け込み溶接は避ける。

完全溶け込み溶接をする場合には、開先加工をすることや、超音波探傷等の検査をする必要性からコストが跳ね上がります。

そのため、隅肉溶接で設計することを推奨します。

そもそも溶接の有無でコストが大きく変わるため、可能であれば、プレートを切るだけ、あるいは曲げるだけで製作できるとコストダウンできます。

❷終局時への配慮。設計応力をどうするか、どこで壊すか。

地震力を受ける金物の場合、終局耐力については計算運用では不明な点が多いことから、許容応力度計算時の2倍の応力で設計する等、終局応力に配慮した設計とする必要があります。

また、金物やドリフトピン・アンカーボルト等のファスナー降伏になるように設計する等、壊れ方への配慮も必要です。

❸製作金物の種類は少なく、箇所数を少なく。

同じような形状の金物で、金物の種類が多いと加工手間・確認手間が大幅に増えるため、コストアップにつながります。

多少金物サイズが過大となっても同じ金物にすることで加工費を抑えられるため、コストダウンにつながります。

鉄骨造的に板厚を微妙に調整するような設計はやめてください。

ほんとに大変です。

また加工手間がコストに直結するため、製作金物の箇所数が多いとコストアップにつながります。

高耐力の製作金物として、できるだけ箇所数を少なくする等の工夫をするとコストダウンに繋がります。

❹構造金物相談所に連絡する

『製作金物を設計しないといけない。』と思っても、実は既製品を活用することで製作金物を用いなくても設計可能な場合があります。

お困りの際には構造金物相談所までお問い合わせください。