中大規模木造では屋根の水平構面が不足するケースがしばしばあります。そのような時に便利な「BX高耐力たる木ビス」をご紹介します。
❶他の屋根構面との比較
通常、45幅の垂木に構造用合板12mmを釘打ちした屋根倍率は、転び止めを設けても最大で0.7倍(グレー本掲載の(17)の仕様)と非常に小さいです。
床倍率を引用すると、登梁や小梁に直接釘打ちしたとして、構造用合板24mmを川の字釘打ち(グレー本掲載の(8)の仕様)でも1.8倍程度です。
一方で、BX高耐力たる木ビスでは、屋根倍率は1.4~2.2倍であり、構造用合板12mmでも(8)の仕様と同等以上の屋根倍率を確保できます。
また、構造用合板24mmを屋根構面に張り付けた場合、その上には通気のためにさらに垂木および構造用合板を設けなければならず、非常に煩雑であることから、
構造用合板(日の字釘打ち)が必要なほど、大きな空間が必要な建物でない場合、倉庫のように折板屋根ではなく金属屋根にしたい場合、等ではBX高耐力たる木ビスが活躍しそうです。
また、屋根面に構造用合板24mmを川の字で釘打ちしている場合、BX高耐力たる木ビスに置き換えることで、材料費・施工手間を抑え、コストダウンを図れるかもしれません。
❷BX高耐力たる木ビス適用時の耐力壁線間距離の目安
BX高耐力たる木ビスが適用できる耐力壁線間距離の目安としては、耐震等級1で屋根勾配が特段急な勾配でなければ、
平屋では、MP木造倉庫の4寸勾配タイプ程度(13~16P×6P)
2階建てでは、8P×8P程度です。
❸最後に
上記でも屋根倍率が不足する場合、構造用合板を日の字打ちで屋根構面を構成するほかに、
・小屋梁に部分的に構造用合板24mm日の字釘打ちを設置する
・鋼製火打ちの追加
・水平ブレースを市松配置で配置
・たる木ピッチを細かくする
なども検討してみると、必要性能が満足するかもしれませんのでおすすめです。