【もくコミュ】No.01 木造建築界隈

構造金物相談所には、沢山の方からご相談をお受けします。
木造建築に係る様々な方からの問い合わせは、建築がたくさんの人々で造られていると実感して、構造金物が建築プロセスのより良い接合部になれるよう励みとしております。

さて、相談所と名付けた看板から始まるのは、”対話”です。
計画についての相談は、はじめ一人の設計者から始まることもあります。

その後、関係する別の設計者が加わることもあり

その先に、工務店や建材の情報を持つ方などが加わることもあります。

これまで、木造建築の接合部を中心にコラムを掲載してきましたが、木造建築に関係する様々な方との対話に視点を広げた話題を、「もくコミュ」シリーズとして掲載してみたいと思います。

初回は、“木造建築界隈”です。

ひとつの建物を計画し建てるまでのプロセスと関係者を簡単にご紹介しましょう。
計画から施工に至るまでの工程は、以下のような流れです。

これらに関係する人々の流れで描くと、こんな感じですね。

それぞれの関係者はどんな方々なのか、簡単ですがご紹介しますと

事業主・施主事業計画を立て、設計や施工を発注するプロジェクトリーダーです。
投資家への説明責任や、環境対策をはじめとした社会的な責任があり、木材を活用する視点をお持ちです。
設計者意匠・デザイン分野:形態や機能性、見え方や建設コスト、設計業務の統括的存在
構造分野:基礎地盤などの敷地条件、地震や風や積雪などの外的な条件などから骨組の物理的な性能を選定する存在
設備分野:給排水、電気、機械設備、エネルギー設備などの建築のインフラを支える存在
審査機関設計分野だけでも、意匠・構造・設備とそれぞれに関係法令があるため、審査機関の中でも担当部署を分けて図面の審査をします。工事の段階でも、設計通りの建設がされているか、材料品質や設計監理の状態などを照合して、最終的な完了検査を行う機関でもあります。
プレカット・生産加工業者建設現場にもっていく柱梁などの部材を、工場であらかじめ加工する工場です。木造住宅で使用する木材の93%以上は、このようなプレカット工場を活用しており、構造金物はこの工場であらかじめセットされることも多いです。
建設業者・工務店一般的に大規模な建設プロジェクトでは、様々な職人さんを束ねて、品質管理と労務管理をする総合建設業者(ゼネコン)が事業主と請負契約を結びます。
住宅規模や比較的小規模な建築では、設計から施工までを対象にして地域密着の工務店が一般的です。
建材メーカー建設部材としての外壁や接合部など、性能を担保した製品を提案し販売します。
構造金物相談所を運営するBXカネシン㈱は、建築金物の建材メーカーです。

木造住宅の建築プロセスでは、前後にいる関係者が対話して効率よく繋いでいくことが多いですね。具体的な外見や納まりなどのイメージが共有しやすい環境です。

これが施設建築になっていくと、その規模や用途の特殊性などから設計から施工までの前後の情報交換だけでは足りなくなるケースが増えます。
そのため、今まであまり対話の機会がなかった関係者と情報交換や調整が増えてきます。 イメージで言うとこんな感じです。

 

これこそが、木造建築界隈が非住宅に広がってより多くの建築を創っていくうえでの対話ではないかと思います。
それぞれのプレーヤーが、何を課題や問題としているのかが多少分からないと、混乱してしまいますね。

「もくコミュ」シリーズでは、それぞれのプレーヤーが、どのような対話をしているのか、少しずつですが展開していきます。「そんなことを考えて尋ねているのだな。」「どんな聞き方をすればいいのかな?」など、木造建築界隈の対話を、建設的に広げられる話題を提供したいと思っております。

次回は、意匠設計者と構造設計者の対話から始まります。
ご覧の皆さんが界隈に加わり、こんなことも聞きたいな?なんて言うリクエストもお待ちします。問い合わせよりご意見ください。

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