第三回「もくコミュ」では、住宅木造に携わってきた意匠設計者の方が、金物メーカーと対話することで、非住宅の木造にチャレンジする場面を覗いてみました。
どのような情報交換がされているのか、参考になさってください。

登場人物
建方(たてかた)氏:一級建築士。建方設計事務所代表。意匠性と構造性能、そしてコストバランスを追求した木造建築を得意とする。
金屋(かなや)氏:構造金物相談所 主任。接合金物の開発にも携わり、多目的木構造部署に異動になって3年目。
シチュエーションの紹介・・・・
建方さんからの問い合わせを受けて、金屋さんが訪問したところからスタート

いつも金屋さんには、住宅で使っている金物について相談に乗ってもらっているので助かるよ。納まりや見え方、耐力やコストなどお施主さんへの性能説明は、最近特に重要になっているのでね。
こちらこそ、ありがとうございます。施工レベルまで気にされ設計する建方さんの質問は勉強になります。
今回はね、住宅ではなく350㎡くらいの一部が事務所になる倉庫を計画していて、階高6mくらいの倉庫空間と、2層事務所を整形にしてコストメリットを出したいんだ。
金屋さんの経験から、住宅で使っている金物と勝手が異なる部分などを少し聞けたら助かるな。

なるほど、倉庫部分の屋根スパンはどのくらいあるんですか?
それが、10mは欲しいと言われていてね。やっぱりトラスになっちゃうよね。
そうですね。倉庫の部分は、特注材の集成材とするか、接合部で木材をつなぐ架構になるでしょうね。住宅木造では一般的ではない納まりになりますね。
トラスは、2x4部材によるメタルプレート接合はよく聞きますね。
弊社では、木材を挟み込んでビスで留める、「ねじ接合トラス」という商品もあります。特殊な加工機が必要なく、重宝されています。採用事例の写真もWEBサイトで見られますので、イメージがわくと思います。


簡単な形態とスパン表や仕様書なども、ダウンロードできますので参考になさってください。

なるほど、これは形態によって構造計算しないといけない商品だね。トラスの配置間隔によっては、部材本数も結果的に抑えられてコストメリットは出るかもしれないね。
柱のほうはどうかな、6m近い柱だと4寸角というわけにはいかないよね。
そうですね、1間ピッチ(1820㎜)で150角か、120×210~300の平角配置が出ると思いますよ。柱脚を土台の上に置くのか、柱脚金物を考えないといけませんね。

150角か、やっぱりおさまりも工夫が必要になりそうだね。
そうなんですよね。3寸5分(105mm)や4寸(120mm)を基準サイズとして、柱も壁も納める住宅の仕組みは、よくできていますよね。
120×300などの平角柱を納める、MP柱脚システムがあります。複数の金物を合わせて配置することもできる商品です。

柱のサイズが変わってくると、基礎も含めておさまりを検討する箇所は出そうだね。
住宅の金物仕様だけでは、解決しない箇所がありそうな気がしてきたよ。
構造金物相談所のサイトを見ると、「MP木造倉庫」という仕様を想定した検討事例を紹介しているね。これは、ある程度プランが限定されて使うか、アレンジしてつけるか、フルカスタマイズが必要になるのか、案件を計画したら相談できるのかな。
その通りです。(一財)日本建築センターでプラン評定をいただいているので、そのような技術資料の活用が可能となります。プランや断面詳細などの段階でご相談ください。
カタログやサイトを見てはいるけど、やっぱり具体的に事例で相談できると意匠計画上も進めやすいね。構造屋さんともよく話すことはあるけど、非住宅となると相談相手が限られてくるね。
金物屋さんや建材屋さんは、事例の紹介があるのでイメージを共有しながら、書いていない課題や工夫なども併せて話ができたりするので助かるよ。
今後もよろしくお願いします。
特記仕様書や事例など、公開しているデータの説明もさせていただきますので、欲しい情報やご不明な点がでてきましたら、お気軽にご連絡ください。トラスの検討などは、内容を熟知した構造設計者を紹介することもできます。
それは助かりますね。いつもの構造屋さんもトラスは経験が少ないようなので
相談先があると話が進みそうだな。ありがとう金屋さん。
まとめ
住宅木造から非住宅へ広げる場合、どのような商材・金物があるかで、多目的木造の特徴が見えてきます。
どのようなニーズが生じているかを設計者と建材メーカーが、プロジェクトの早期から対話し、それぞれの専門知識を共有することで、課題の解決や新たな発想が生まれ、木造建築の品質と可能性はさらに高まります。
金物関係に限らず、どこに相談したらいいか分からないようなお困りごとや些細な質問など、お気軽に構造金物相談所までお問合せください。
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