中大規模の物件や非住宅の木造を設計する際に、設備などの配管を通すために面材耐力壁は開口のサイズなどに制限が有るので、木造のブレース耐力壁にしたいけれど、市販されている接合金物がなく、毎回検討していて、手間がかかると思ったことはございませんか。そのような方のニーズにこたえるために、MPティンバーブレース耐力壁が発売されました。
今回は、木質ブレース耐力壁に使用できるMPティンバーブレース耐力壁について、特徴と設計ツールの使い方について紹介します。

はじめに
MPティンバーブレース耐力壁は、短期許容せん断耐力21.4kN/m~40.4kN/mを有する木質ブレース耐力壁で、スパンや階高などに応じてブレース角度や耐力が決まります。また、ダンパー機能を有しているため、ルート2の設計ではβ割り増し不要で、木質ブレースを使用することができます。

適用範囲
MPティンバーブレース耐力壁を使用できる条件は以下の通りです。
壁の条件は
・柱芯間距離:1820mm~3640mm
・横架材天端間距離:2700mm~4100mm
・ブレース角度:50.8°~77.6°(使用環境Ⅲの場合)
木材の条件
・柱:150角以上・すぎ【樹種群J3以上】集成材E-65-F255以上
・梁:150×390以上・すぎ【樹種群J3以上】集成材E65-F225以上
・ブレース:150×210(階高3700mm以上の場合は150×270)以上・おうしゅうあかまつ【樹種群J2以上】集成材E105-F300以上
その他の細かい条件については、ユーザー専用ページからダウンロードできる「MPティンバーブレース耐力壁 設計施工マニュアル」をご確認ください。
設計方法
MPティンバーブレース耐力壁は、(ブレースの接合部としてではなく、)耐力壁として、耐力や剛性の評価を取得しております。構造計算モデルを作成する場合、八の字型のブレースとして入力することが推奨されており、計算モデルを作成するための数値は設計ツールを用いて算出することができます。
①耐力壁の情報を入力
耐力壁の幅や高さ、使用する木材断面などの情報をツールに入力します。青色のセルには手入力、黄緑色のセルはプルダウンで入力することで、適用範囲内かどうかが判定されますので、全てOKとなっていることを確認してください。
ブレース角度θが大きすぎてNGの場合は、梁せいを大きくするなどで解決することが可能です。
(例えば、柱芯間隔1820mm、横架材天端間隔4100mm、柱幅150mmの場合、梁せい390mmとすると、θ=78.0°となるのでNGですが、梁せい510mmにすると、θ=77.55°となるのでOKとなります。)

②耐力・剛性の確認とモデル入力
MPティンバーブレース耐力壁の耐力は、柱芯間隔:1820mm,3640mm、横架材天端間隔:2700mm,3700mm,4100mmのそれぞれの場合(6パターン)について、解析を用いて算出されており、実験等で解析の妥当性を確認しております。
中間のスパンや高さの場合は、線形補間した耐力となっておりますので、設計ツールでも線形補間で算出されるようになっております。

耐力壁の剛性については、ブレースの断面・ヤング係数・角度・長さと接合部やダンパーの剛性(形状が同じなので算出式では定数)を考慮した式(評価書内に記載されております)を用いて算出されます。

モデル上のブレースの剛性を耐力壁の剛性に合わせるための入力方法は、解析ソフトによって異なると思いますので、剛性低下率だけでなく、等価ヤング係数・等価断面積で入力する場合の数値も算出しております。ソフトに応じていずれかの数値をご入力ください。

③耐力の確認
八の字型のブレースを入力した計算モデルで、水平力に対する応力計算を行い、算出されたブレースの軸力をシートに入力することで、耐力壁の検討をすることができます。
MPティンバーブレース耐力壁は、ブレース頂部と梁の接合部にダンパー形状を有しているので、ルート2で検討する際に、MPティンバーブレース耐力壁以外の筋かい耐力壁がない場合は、筋かいの負担する水平力の割合による応力割増しを1.0とすることができます。
計算ソフトによっては、水平力の応力計算結果を表示する際に、自動で割増が考慮されるソフトもありますので、①にソフト上の応力割増し係数を入力し、実際の応力割増し係数を②に入力してください。

④接合部の設計
評価書の別紙-12に記載があるように、耐力壁の適用範囲内で使用する場合は、耐力壁の許容せん断耐力に対する検討をすることで、ブレースやブレース接合部は省略できるので、柱・梁・柱頭柱脚接合部のみ検討すれば良いです。
柱・梁の部材については、ソフトで検討できると思いますが、柱頭柱脚接合部については、設計者が納まりを考慮しつつ、別途検討する必要が有ります。
なお、代表的な納まり例については、今後、セミナーや架構詳細図例などで公開する予定です。
柱脚の接合部を設計する際は、ブレース接合部も一体化すると納まりが良くなりますが、ブレース部分の接合部のドリフトピン配置などは評価で定められておりますのでご注意ください。
ブレース部分のピン配置の決め方は以下の通りになります。
1.ブレース角度の決定
ブレース頂部の基点は、梁下端から155mm、耐力壁中心から110mm離れた位置
ブレース脚部の基点は、横架材上端から150mm、柱面位置となり、
上記2点を結んだ角度がブレース角度となります。

2.開き止めボルト・ドリフトピンの位置の決定
ブレース脚部の開き止めボルトの位置は、1.の基点間の線上で柱面から70mmの位置です。
ドリフトピンは、開き止めボルトの位置を基準に、標準図等の通りに配置します。

さいごに
今回、コラムで使用した設計ツールの他にも、標準図や専用発注書がBXカネシンHPからダウンロードできますので、適宜、ご活用ください。
また、ブレースの角度や柱脚の仕様によって形状がバラバラなので、金物は都度製作となります。発注からの時間が長くかかってしまう場合もございますので、お見積りを早めにいただくことが、スムーズな納品・建て方につながります。
また、ブレースは水平抵抗要素なので、耐火建築等で木材をあらわしにしたい場合は、被覆等の納まりを十分に考慮しつつ、ご使用ください。
今回のコラムで紹介した製品:MPティンバーブレース耐力壁
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