2m程度の庇を設ける場合

MP木造倉庫のアレンジプランとして、トラス上弦材を伸ばして桁行面に2.275mの庇を設ける場合の検討例を示します。
(多雪地域ではトラスピッチが細かく、桁行面に大開口を設けることは難しいため、ここでは検討しません。)

簡易平面図

構造設計ツールの入力の関係上、庇を桁行面両側にバランスよく1.365m跳ねだした上に、外壁の位置を0.91m室内側にセットバックさせることで、2.275mの庇設けます。

庇は上弦材を伸ばして支持します。材長は6m(最大5.985m)以下の流通材にします。
ここでは4寸勾配タイプの検討をします。

構造設計ツールと合わせて、以下の追加検討をします。

  1. 跳ねだし梁の曲げ・たわみに対する検定
  2. 柱の座屈に対する断面算定
  3. 納まりの検討・確認

1. 跳ねだし梁の曲げ・たわみに対する検定

中短期(積雪時)、長期、風圧時の上弦材の曲げ耐力・たわみに対する検討を行います。

最大トラスピッチ  : 6.5P(5.915m)
積雪荷重              : 35cm
基準風速・地域粗度区分 : 34m/sec・Ⅲ

上弦材の検討結果

2. 柱の座屈の検定

内壁の室内側柱は、柱の幅方向がシャッター上小壁や耐力壁で座屈補剛されるため、外壁分の荷重が多少増えても安全側の検討ができているとして、構造設計ツールのままの検討とします。

内壁の外壁側柱も同様に庇分の追加荷重がかかりますが、庇を跳ねだした分の鉛直荷重は構造設計ツールで計算されているため、別途検討しません。

3. 納まりの検討・確認

内壁の室内側柱に外壁を設けた場合、桁とBXトラスの上-下弦材を接合するプレートが干渉するため、別途納まりの検討が必要です。

以下に納まり例を示します。
プレセッターSUにて上弦材と桁のせん断力を伝達できないため、別途、袖柱を設けて鉛直荷重を支持する納まりとしています。

図 外壁をセットバックさせた場合の納まり例

4. 終わりに

以上、桁行面に2.275mの庇を設ける場合の検討をしました。

ちなみに2寸勾配タイプの場合には、庇の長さが1.365mの時には上弦材の材長が6mを超えるため、特注材とする必要があります。

この時、トラスピッチ8m程度・積雪量35cmの条件で検討すると、
庇1.82m(セットバックさせた内壁長さと合わせて2.73m)まで対応できそうです。

桁行面の庇の場合について検討しましたが、梁間面に庇を設けたい場合は、
①オーニングを設けるか、
②庇の先端に柱を立てる必要があります。

後者の場合、車の通行に配慮して、基礎の立ち上がりを高くとる等の配慮が必要です。