case07 MPシアプレートにより鉄筋ブレース耐力壁を構成する場合

MPシアプレート102を用いて鉄筋ブレース耐力壁を構成する場合の検討例を示します。梁や柱の側面にMPシアプレートを取り付けるだけで、特注金物なしで鉄筋ブレース耐力壁を構成できます。BXカネシン社内試験を行い、解析結果と比較して解析モデルの妥当性を確認します。

目次
  1. 設計方針
  2. BXカネシン社内試験結果との比較
  3. 終わりに

❶はじめに

設計方針は以下の通りです。

  • MPシアプレート102の荷重変形関係はAIJ規準の耐力値ではなく、BXカネシン社内試験結果に基づいて設定します。繊維方向と繊維直交方向それぞれにせん断バネを設けてモデル化します。(社内試験はたすき掛けで行っており、下記で説明するM18ブレースに対しMPシアプレート102を1つ取り付けた面内せん断試験の他、MPシアプレートがAIJ規準の範囲で成立するM20ブレースに対してMPシアプレート102を2つ取り付けた試験も行っています。)
  • JISブレースの荷重変形関係は、JISブレースはF=235N/m㎡以降、初期剛性の1/100勾配のバイリニアモデルによりモデル化する。
  • 柱脚金物(高耐力フレックスホールダウン60)の引張の荷重変形関係は第三者機関の試験結果に基づいて軸ばねのモデル化をする。圧縮剛性は100kN/mmとする。
    幅×高さ=2.00m×1.79m

JISブレース端部モデル図(MPシアプレートは柱付け)

❷BXカネシン社内試験結果との比較

M18ブレース1本を柱の腹に取り付けているため、実験では偏心しているが、解析モデルではその影響を反映できていないことから、剛性が多少固めの評価になっていますが、概ね妥当な解析モデルとなっていることを確認しました。

JISブレースのF値を用いて、Co=0.2で許容応力度計算を行う場合、そのままでは終局耐力を担保できないため、適切に耐力低減する必要があります。 ここでは概ねF値に対して1.5倍の応力割り増しを考える必要があります。

種類評価値 (kN)決定要因基準耐力壁倍率
aPy(0.2/Ds)Pu2/3Pm1/120(kN)(倍)
実験※44.2724.6245.5327.60(0.2/Ds)Pu24.626.28
解析33.5125.5627.7830.03(0.2/Ds)Pu25.566.52
比較0.761.040.611.091.041.04
    赤線が解析モデル、灰色が実験値   写真は実験の終局時変形

❸終わりに

今回紹介したブレース耐力壁は柱付け納まりとしていますが、梁付け納まりとすることも可能です。

また設計時は、終局時にもJISブレース降伏となるように、周辺部材の設計も必要です。

詳細な説明資料はMP木造倉庫の登録設計者に配布しております。

また、JISブレースの表面処理を灰色の錆止め塗装と変更したり、MPシアプレートをプロイズで特注(製造確認)することも可能です。

第三者試験ではなく、BXカネシン社内試験に基づいた検討資料ではありますが、ご利用になりたい方は構造金物相談所までご連絡ください。

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