case10 金物工法を活用した梁組の設計 在来工法と金物工法の比較

小規模な木造建築物の多くは在来軸組工法により設計されていることが一般的ですが、梁接合部を在来仕口とした場合には断面欠損に注意が必要です。

今回はその断面欠損に注目して在来工法と金物工法の比較を行ってみました。

目次
  1. はじめに
  2. 梁組の検討
  3. 終わりに

1. はじめに

2階の床梁について、金物工法を活用した梁組を検討してみます。

在来工法において、在来仕口の接合部耐力は、仕口加工による断面欠損により母材のせん断耐力よりも小さくなるのが一般的であり、横架材のせん断に対する検討では梁端部が厳しくなる場合があります。

また、荷重負担面積を小さくするために梁のピッチを細かくして対処しようとすると、材積が多くなります。

梁端部を梁勝ちにして柱に乗せるという選択肢もありますが、外壁に接する柱や3階建てではめりこみ耐力が厳しい場合があります。

そのような場合、母材のせん断耐力と同程度の耐力を有する、プレセッターSU等の金物工法を採用すると、梁端部の性能・納まりによって梁組に制限がかからず、材積を抑えた設計が可能です。

2. 梁組の検討

具体的に事務所を想定して、一般流通材の範囲で6P(0.91m×6)四方の梁組をかけてみます。

大梁に着目して検討をします。設計条件は以下の通りです。

設計条件

  • 梁の樹種はベイマツ集成材(E135-F375)とします。
  • 固定荷重は600N/㎡、積載荷重は事務所用として1800N/㎡、たわみ用は800N/㎡
  • 直交方向から取りつく小梁による断面係数の低減係数は以下として計算します。
     片側蟻仕口+大入れ:0.65 (2017年版グレー本参考)
     金物工法:0.80
  • 荷重条件は5点集中荷重、荷重負担幅3.5Pとして計算します。
  • 在来の柱梁接合部の耐力は母材のせん断耐力に対して断面低減係数を0.6とします。

金物工法により大梁の断面欠損を抑えられるため梁成を450→390に置き換えることができました。このことから金物工法の採用により、材積を減らすことができそうです。

(中央の柱は、平角の想定)
在来工法と金物工法で同じ梁組とした場合(ベイマツE135-F375の想定)

また、在来工法の梁組について部分的に見てみると、少し問題がありそうです。

在来工法の各部について

上図のように、全て在来仕口による梁組では6P四方の空間は難しいため、
大梁(120×450mm)を@6Pではなく@4Pにする等、もう少し細かく大梁を並べる梁組が現実的と思われます。

4Pピッチで大梁を配置した場合
(在来工法の場合、ベイマツE135-F375の想定)

この場合、材積は先ほどの金物工法の梁組と同程度ですが、

  1. 梁の本数が多いため、施工手間が増えたり、
  2. 柱の本数が増えるので、空間的な制約も増します。

3. おわり

金物工法を取り入れることで、大きな空間を構成しやすいことがわかりました。

小梁も金物工法にすると全体としてコストアップになりえますが、柱と梁の接合部だけでも金物工法を取り入れることで、梁端部のせん断耐力を金物の接合部耐力により担保できるので、梁せいを抑えられると同時にコストダウンも狙えそうです(仕口加工の仕様や断面欠損の程度によっては、在来仕口にしたほうが合理的な場合があります)。

ただし、プレカットによっては金物工法・在来工法の併用ラインに対応していないこともあるため、注意が必要です。

適材適所で金物工法を導入する事で、合理的な設計が可能です。是非、金物工法をご活用ください。

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Keyphrase:#金物工法 #在来工法 #断面欠損

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