大きなせん断力を伝達する梁受け金物や大きな軸力を受ける柱脚金物が必要な建物では、意外と柱の断面や長さによって、柱の耐力が接合部性能を下回ってしまうケースがあります。
今回は構造計画する際も参考にすることができる柱の耐力を設計例と併せて紹介します。
目次
- はじめに
- 計算例
- 検討結果
❶はじめに
柱の断面決定要因となる座屈およびめり込みの許容応力度を求めます。
検討の条件は以下の通りです。
・柱の樹種は杉集成材E65-F255、スプルース集成材E95-F315の2種類とします。
・柱断面は105角、120角、135角、150角の4種類とします。
・土台の樹種はひのきとします。
・許容座屈応力度は平13国交告第1024号に基づいて算出します。
・柱頭、柱脚はピン接合とします。
・座屈長さは2700mm~4500mmまで300mmごとに耐力を算出します。
・めり込みはロールパイプによる断面欠損を考慮し、材中間部での検討を行います。
❷計算例

❸検討結果
同様に他のパターンでも計算を行った結果を示します。


仮に、下図のような条件の場合、梁受けは問題ないですが、柱には40.5kNの圧縮力が生じるので、計算例の条件ではめり込みでNGとなります。

その場合には、構造設計コラムvol.17 土台のめり込み対策と納め方を参考に、適当な対策をとることで、柱断面は座屈耐力によって決まるため、柱は120角のままとすることができます。
Keyphrase:#めり込み #座屈
コラムで使用した製品:ロールパイプ