vol.17 土台のめり込み対策と納め方

柱の軸力を検討する際、土台のめり込み耐力不足が問題になる場合があります。

住宅では主に3階建てで問題になりがちですが、中大規模木造では使用する耐力壁の性能が高かったり、スパンが大きくなることから2階建てでも注意が必要です。

そこでめり込み耐力不足の対策となる納まりをいくつかご紹介します。

❶柱のホゾを短ホゾやパイプ接合とする

1つ目はシンプルに柱と土台の接する面積を増やす方法です。例えばホゾの形状を隅柱で使う30角の短ホゾにしたり、金物工法で使用するパイプ接合とすることで、柱と土台のめり込み面積を大きく取れます。これと合わせて土台樹種変更(べいつが防腐処理剤からべいまつ防腐処理剤への変更等)程度で対応できると経済的かもしれません。

ただし、通常の30×90のホゾより小さいため、柱付けの筋かいを採用した場合、せん断力が不足する恐れがあります。その場合、ロールパイプ10などのパイプ接合を推奨します。

❷土台プレートⅡを使用する

2つ目も土台のめり込み面積を増やす方法です。一般的な対策として、土台プレートⅡ〈めり込み防止用〉を使う方法があります。

ただし、出隅では材端のめり込み耐力となり、1/1.25倍程度の性能になってしまうため、注意が必要です。

一部、金物工法でも対応しています。下で紹介するPZ-HDP-20はめり込み防止金物の板厚分をカットした柱でも耐力確認しています。

❸柱の断面や本数で処理する

3つ目は柱の断面を変更してめり込み面積を増やす方法です。階高が高ければめり込み耐力だけではなく、柱の座屈耐力も厳しい場合もあるため、柱を平角柱にする方法もあります。

柱断面の長辺で180mmまでならば流通ラインのプレカットで加工対応できることが多いです。ただしホゾ形状は、偏心ホゾとならないよう注意が必要です。

他にも105角の柱を2本並べるという方法もあり得ます。こちらは地震力で決まっている場合には均等に応力負担しない可能性もあるため、注意が必要です。

❹柱勝ちでパッキンに載せる

基礎のコンクリートと柱木口を直接面タッチするのは、雨天時の建て方も考慮すると柱が木口面から水を吸ってしまう恐れがあるため、あまり推奨できません。

 パッキンで柱を受ける方法がありますが、座屈耐力やおさまりの関係から、断面を105角のままで柱をベイマツE135-F405とした場合、 パッキン接触面の柱の圧縮耐力が問題なくても、パッキンの圧縮耐力が不足している場合があるため、注意が必要です。近年では高耐力版のパッキン製品もあるようですのでご検討ください。

パッキンで受ける場合、平角柱105×150以上としてパッキンを2つ使うか、柱せい210で1つの大きめのパッキンを使うか、どちらかの使用を推奨します。

引張力が生じなくても、ずれ防止として基礎・土台・柱との接合のためにコーナー金物かプレセッターSUなどの金物工法が必要なため、注意が必要です。

❺柱勝ちで柱脚金物に載せる

柱脚金物に載せる方法が最も堅実です。高耐力の耐力壁で構成して短期の性能で決まっている場合や中高層木造建築の場合には自然とこのおさまりになるかもしれません。

ただし、在来のホールダウン金物より施工精度が求められるため、アンカー精度管理には注意が必要です。

最後に

適材適所で有効な方法をご検討ください。

土台に着目しておさまりを紹介しましたが、中大規模木造では2階床レベル、または、1階柱頭のめり込み耐力が厳しいこともありえます。その場合も柱勝ちにするなど、おさまりにご注意ください。柱勝ちと梁勝ちに関するコラムはこちら。

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