case18 幅狭耐力壁の設計例

 狭小戸建てやガレージなどの建物では、どうしても通常の耐力壁が配置できず、ベースセッター等の狭小耐力壁(幅狭耐力壁)が必要なケースや幅に対して高さの比が大きい耐力壁が必要になるケースもあります。
  今回は前者に関して、既製品の耐力壁よりも高い耐力が必要な場合やコストを抑えたい場合などに、詳細計算法で幅狭耐力壁を検討する例を紹介します。

目次
  1. 設計方針
  2. 検討結果
  3. まとめ

1. 設計方針

 下図(柱頭は任意のため作図省略)の幅狭耐力壁に関して、「木造軸組工法中大規模建築物の許容応力度設計(2024年版)」(中大規模グレー本)を参照し、面材張り大壁の詳細計算式とロッキングによる剛性低減式を用いて検討します。

検討する耐力壁
  • 高耐力フレックスホールダウン60(FH-60)高耐力柱脚金物75(PSBP-75)の場合について検討します。
  • 面材は、構造用合板2級・表層樹種J1 12×455×2730mmを両面張りとします。
  • 高耐力柱脚金物75の場合、大壁では納まり上、好ましくありません。
    そこで、グレー本掲載の方法に準じて枠材を設け、枠材と土台はBX高耐力たる木ビス(KTB-130)で留めつけて一体化し、枠材に釘留めとします。
  • 釘仕様を1-CN65@75として釘配列計算した結果、剛性低減前の壁倍率は9.8倍(1/150rad時)とします。これに対して、柱脚のロッキングを考慮して計算します。
  • ロッキングの計算をするときの各種の数値は中大規模グレー本の数字を引用します。

*中大規模グレー本では耐力壁脚部の引張剛性について、試験結果の初期剛性を用いるか一般的な仕様の剛性は下記の値を用いても良いとしておりますが、高耐力柱脚75は一般的な仕様として記載されている例に当てはまらないため、高耐力柱脚金物75の引張剛性に関しては、試験結果の初期剛性を用います。
 在来軸組工法用補強金物:7.5kN/mm、
 土台勝ち、50~60kN用ホールダウン金物:15kN/mm
 100kN以上の基礎直結金物:60kN/mm

2. 計算結果

ロッキングの計算結果を以下に示します。

高耐力柱脚金物75のほうが圧縮・引張剛性が大幅に高いことから、ロッキングの影響を抑えられ、幅狭耐力壁に向いていることが確認できます。

今回は、12mm合板両面で検討しましたが、24mm合板片面で設計し、2丁合わせで連続して配置できれば、よりメリットがあると考えられます。

3. まとめ

今回、ホールダウン金物を用いた場合も計算しましたが、幅狭耐力壁では耐力壁内側にホールダウンが取り付けられがちです。ロッキング剛性の影響が大きい幅狭耐力壁では、注意が必要です。

実際の納まりを考えると、ホールダウンでは不安が残る場合があるため、今回、紹介した高耐力柱脚金物75の使用をお勧めします。

コラムで使用した製品:高耐力フレックスホールダウン60(FH-60), 高耐力柱脚金物75(PSBP-75)

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