vol.27 通し柱継手の接合部設計について

3階建て以上で高倍率の耐力壁を用いる場合、1階の柱頭、2階柱脚接合部の引張・圧縮に対する設計が厳しいケースがあるかと思います。 
住宅用金物で設計しきれない場合、長さ6m以下の一般流通材の範囲で通し柱の検討をお勧めします。

 ❶納め方をどうするか 

金物工法のパイプ接合の場合、PZホールダウンパイプ「PZ-HDP-30HJ」であれば問題なく接合できます。 
ただ、せん断と引張の複合応力が厳しいケースがあるかと思います。その場合、NHDP-40などの短冊金物の検討を推奨します。せん断キーとしてパイプ接合などを併用する必要があります。 
梁成によっては短冊金物では納まらない、または、外壁との取り合いによっては継手位置を梁天端より上にする必要がある場合があります。 
その場合、パイプ接合に引きボルトを通して引きボルト接合とする方法もありますので、ご検討ください。 

 

❷柱のせん断力にどう抵抗するか

面材耐力壁の場合、柱継手より上〜梁下端までの柱への釘本数程度のせん断力を負担させるように設計する必要があります。 
ロールパイプ 等のせん断耐力の試験結果をそのまま使用すると厳しいケースがあるかと思います。 

試験では木材の割裂で決まっているため、105角以上で設計できる場合
 1.パイプと木材の支圧耐力
 2.曲げ降伏理論にて使用される割裂耐力 
の検討をした上で、より高い耐力を確保する方法もあります。 
少なくともベースセッターの柱頭仕様くらいのせん断力は期待できます。 

その他、複数本使いする方法もありますが、プレカットの可否をご確認ください。 

おわりに  

当然ですが、通し柱とする場合には、上下階の柱位置がそろっている必要があります。
意匠設計では平面だけで計画されがちのため、制作金物になってしまうような高軸力の接合部になる場合、構造設計者として計画の早めの段階で柱位置の調整依頼をすることを推奨します。 

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