vol.30 水平構面が特殊納まりの場合の接合部について 

水平構面は、地震や風などの力を耐力壁に負担させるために必要ですが、
以下のような場合、水平構面が同じ高さではないため、納まりについて悩んだ経験はありませんか。

  • 床段差が生じる場合
  • 屋根面の耐力が不足する場合の小屋梁面の剛床補強をする場合
    (特に垂木への面材干渉回避のための段差おさまり)
  • 下屋と主屋の接合部
  • スキップフロアの場合

今回は、特殊納まりとなる場合の接合部について、紹介したいと思います。

 床段差が生じる場合の枠材接合について 

床段差が生じる場合、床倍率4倍以下の24mm合板による剛床では、例えば「ネダノンマニュアル(日合連)」におさまり図が明示されていますので、その通りで納めればよいかと思います。  

それを超える床倍率の場合、以下の選択肢があるかと思います。

 ①詳細計算にて、真壁の計算を参照して設計(枠材は別途、鉛直荷重も加味して検定)
 ②枠材接合には十分余裕をみて(面材釘耐力が終局時に枠材接合は弾性域等)、
  一般部と同等性能と判断して設計
 ③吹き抜けとして設計

比較的大規模な建物の場合、水平構面は剛床仮定が成立するよう、十分余裕をもって設計することが一般的かと思われますので、簡易に②で設計する選択肢もあります。
床段差の範囲が少ない場合、他の水平構面だけで耐力確保できれば③が最も簡易的です。

水平構面が高耐力の場合、釘接合では厳しいです。
枠材仕様のホールダウン金物で用いられるYPR-115等、住宅用ビスを活用する高耐力・高剛性であり、またコストも抑えられます。
YPR-115の社内試験結果に関しては構造金物相談所までご相談ください。

下屋と主屋の接合 

下屋と主屋の接合は適切に納まりを設計しないと応力伝達できません。
BX高耐力たる木ビスの場合、屋根構面が高耐力のため、適切に検討したい所です。
建方上、母屋と束が先に設置されるため、下図のように主屋に沿わして母屋を配置し、耐力壁に受け材を設けて釘接合が良いかもしれません。

上記が煩雑な場合、下屋の小屋梁に剛床を配置し、それだけで屋根倍率を確保する方法が最も堅実です。

おわりに  

その他、スキップフロア等でも適切な判断が必要です。おさまりが特殊でお悩みの場合には構造金物相談所までご相談下さい。 

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