荷重条件が厳しい場所で長スパンを飛ばすときは、一工夫する必要があることが多いと思います。
今回は、多雪地域の屋根で6m超のスパンが必要な際に、トラスを用いた場合の検討例をご紹介いたします。
目次
- はじめに
- 検討方針
- 検討結果
- おわりに
1. はじめに
一般地域の積雪条件であれば、屋根のスパンは比較的簡単に飛ばしやすいです。
ただ、多雪地域で6m超スパンについては、一般流通材での設計は厳しい場合が多いです。
また積雪量によらず床梁のスパンが6m超の場合も、一般流通材での設計は厳しい場合が多いかと思われます。
今回はトラスを活用して、軒レベルを上弦材、床レベルを下弦材としたトラスの検討例を示します。
2階のプランに多少の制約は生じますが、
①中廊下式の計画等、2階以上が個室で1階が大きな共有空間等の場合
②下屋がある建物で下屋外壁面直下が大きな室の場合
等の計画では活用しやすいかと思われます。
2. 検討方針
以下に検討方針を示します。
- スパン8P、荷重負担幅4P、垂直積雪量100cm(30N/cm)、積載荷重は事務所用途で1.8kN/㎡(大梁用)、固定荷重は床0.8kN/㎡と内壁のならし荷重0.3kN/㎡を加えた場合について、短期積雪時の軸力を検討します。
- 今回は、MPシアプレート102とJISブレース2-M24で検討します。
- 納まりは『case05 MPシアプレートを用いた鉄筋ブレース接合部の設計例』のイメージです。
3. 検討結果
以下にトラスの軸力図を示します。150kN以下に収まっており、何とか設計できるかと思われます。
スパンが8P程度であれば、高軸力の継手も発生しないので、特注金物を最小限に設計できます。
4. おわりに
実際に設計する場合、大地震後にも鉛直荷重支持能力を損なわないように、十分に安全を見込んでご使用ください。
また、間仕切り壁がある場合、JISブレースの干渉に配慮して、間柱せいを確保して壁をふかすなどの工夫が必要かと思われます。
トラスを含めた構造設計が困難な場合、構造設計事務所のご紹介が可能です。
構造金物相談所までご連絡ください。
Keyphrase:#大スパン #多雪地域 #トラス
コラムで使用した製品:MPシアプレート